開栓したワインを手軽に保管・持ち運びするために「ペットボトルを使いたい」と相談される事が結構あります。
簡単に蓋ができて、瓶より軽いので持ち運びも楽になりますよね。
しかし、アルコールなので「ペットボトルが溶けませんか?」という心配の声も。
今回は、そんなペットボトルによるワインの保存について解説します。
ワインの保存についての4つの基本
- 酸化を防ぐ
- 光を遮る
- 適切な温度管理
- 適切な湿度管理
まず基本として、ワインを保存する際に気をつける4つのポイントについて解説します。
1. 酸化を防ぐ
ワインは開封する事で品質が変化し始めます。
その最大の理由は、ワイン自体が空気(=酸素)と触れて酸化が進む事。
そのため、保管のために最も良いのは開栓しない事です。
開栓した後であれば、空気と触れる面積や時間を減らす事で劣化を遅らせる事ができるので、例えば下記のような対策が効果的です。
- 立てて保管する
- 小さな瓶に移す
- キャップをする
- 真空ポンプで中の空気を抜く
こういった対策で酸化を防ぐ事で、ワインの品質を保ちやすくなります。
2. 光を遮る
ワインは光の影響で品質が大きく変わります。
理由は、光に含まれる紫外線の影響によりワインが劣化していくためです。
容器の色の影響も大きく、太陽光にあたる環境に透明・緑・黒の3色のボトルに入れたワインを放置すると、透明のボトルに入れたワインが最も劣化します。
※出典:Firadis WINE COLUMN
また、太陽光だけでなく蛍光灯にも紫外線は含まれているため注意が必要。
光を通しにくい(色の濃い)容器に保管する事で、紫外線による劣化を防ぎやすくなります。
3. 適切な温度管理
適切な温度管理も品質を保つために重要なポイント。
理由は、温度変化によりボトル内の空気圧が変わると、その影響でボトル内部に外気(=酸素)が流入してしまうからです。
また、単純に熱によりワイン自体の成分が変化してしまう事もあります。
そのため、種類にもよりますが概ね10~18℃で保管する事が理想。
温度管理も、ワインの保管に重要なポイントの1つです。
4. 適切な湿度管理
ワインは75%前後の湿度で保管することが望ましいです。
理由はカビと乾燥から守るため。
湿度が高すぎるとカビが生えやすくなり、ラベルやコルクが傷む原因になります。
反対に湿度が低すぎるとコルク栓が乾燥し、酸素や微生物がボトル内に入り劣化の原因に。
適切な湿度を保つ事で、カビや乾燥からワインを守る事ができます。
4種類の保存容器とメリット・デメリット
ワインの保存に使われる容器4つについて、メリット・デメリットを解説します。
1. ガラス瓶
ワインの保存に最も使われるのが、ガラス瓶。
ガラス瓶は硬く形が変わりにくく一定の遮光性があり、密閉性も高い事から長年使われています。
ガラス瓶の形にも理由があり、ボトルの底が凹んでいたり肩の部分から細くなっているのは、ワインを注ぐ際に澱がグラスに入る事を防ぐため。
形が変わりにくいので、その特徴的な形状を維持できる硬さも重要となります。
一方でガラス瓶は重く、その形状から輸送の際に無駄なスペースができるため輸送コストが高い点がデメリット。
とはいえ保存性や高級感などのメリットの方が大きいため、ガラス瓶が長年使われていると言えるでしょう。
2. 缶
アルミ缶も優秀なワインの保存容器の1つ。
缶は遮光性が高く一定の衝撃にも耐えられるためです。
一番の特徴は酸化が起こらない事。
ワインを缶に封入する際に缶内を一度真空にするので、酸素が入らない(=酸化しない)のは大きなメリットです。
しかし、酸化=熟成でもあるので缶ワインは熟成が起こらないため長期保存する(=寝かせる)意味がありません。
少量のワインを安定して楽しめる事が缶の特徴といえます。
3. プラスチック
ここでは紙の箱にプラスチック製の内袋があるものや、二重のプラスチックの容器(最近の醤油のボトルのような仕組み)を指します。
一番のメリットは輸送コストが安いという事。
特に紙箱のものは軽く四角い形状なので、スペースの無駄がなく重さの影響も小さいです。
プラスチック容器のワインは、同じ金額帯のガラス瓶のワインと比べると高品質な可能性が高いと言えます。
一方で、見た目の高級感はなく衝撃にも弱い事が難点。
また、短期の保存には向いているものの長期の保存には向いていません。
プラスチックの内袋は完全に酸素を遮断できるわけではないので、概ね1年を超えると未開栓でも酸化による劣化の可能性が高まります。
買ってすぐにコスパの良いワインを楽しみたい場合に使える保存方法と言えます。
4. ペットボトル
ペットボトルは手軽さの反面、品質低下が懸念される保存方法です。
手軽に開け締めでき、軽くて持ち運びも簡単。なにより飲み終わったら小さく潰すことができて、捨てられる場所も多い事が大きなメリット。
一方で、容器が透明な事から光による影響を大きく受けますし、キャップも気密性が高いとは言えないので、保存性が高くない点がデメリットです。
アルコールなのでペットボトルに入れるとボトルの成分が溶け出すのでは?という声も聞こえますが、可能性はあるものの短期の使用では問題ありません。
また、ペットボトル入りワインのボトル内にはDLCというコーティングがされています。
同様のコーティングがお茶のボトルにも施されているため、空きボトルを利用する際はお茶のボトルがオススメです。
ペットボトルは短期間に手軽さを重視して使うものと言えます。
ワインをペットボトルで保存する際に気をつけたい4つのPoint
ペットボトルにワインを移し替えて保存する際の注意点をまとめます。
1. 光を遮る
透明なペットボトルは光を通してしまうため、光からきちんと守ってあげる事が重要。
新聞紙や紙袋などで包む事で、光による劣化を防ぐ事ができます。
2. 適温に保つ
ペットボトルは外気の温度の影響を受けやすいので、涼しい状態に保つ事が重要です。
10~18℃程度を目安に保存する事で、劣化を遅らせる事ができます。
3. 使用前に洗浄する
ワインに限らず多くの食品・飲物において、雑菌は劣化の大敵です。
詰め替えるペットボトルはほとんどの場合、何か別の飲物が入っていた容器のはずなのでほぼ必ずと言っていいほど口内の雑菌が入っています。
きちんと洗浄して使う事で、雑菌による品質低下を防ぐ事ができます。
4. 早めに飲む
上記をきちんと守っていたとしても、開栓したワインをペットボトルで保存するという事自体が保管方法としてオススメできない事に変わりはありません。
ぜひ早めに飲む事で、ワイン本来の美味しさを楽しんでください。
まとめ
ワインをペットボトルで保管する事についてお話しました。
ワインには保管の際に注意すべき点がいくつかあり、それらの視点から瓶・缶・紙(プラスチック)・ペットボトルにはそれぞれ一長一短の特徴があります。
それぞれのメリットを活かす事で、自分なりのスタイルでワインを楽しめるようになる事が一番です。
ワインを楽しむために、少しでも参考になれば幸いです。