PPとは?
ワインの紹介などで見られる「PP」という記載は、ロバート・パーカー氏が作ったワインの品質を評価する指標のことです。
パーカー氏が立ち上げたワイン・アドヴォケイトという雑誌に、パーカー氏自身がその評価を掲載していた事からパーカーポイント(PP)の名がつきました。
※氏の名前からRPと略される事も
その評価への信頼はとても大きく(理由は後述)、2~3,000円のワインが著名ワイナリーのワインより高い点数がつけられて価格が一気に上がる…なんて事もあります。
パーカー氏とは?
1947年生まれのアメリカ人で、元々は弁護士をしていた人です。
大学を卒業して10年ほど弁護士をする間に、当時スポンサーのいない公平なワイン評論家がいなかった事などから「消費者のために分かりやすくて公平なレビューを作りたい」と思い、ワイン・アドヴォケイト誌を出版。
多くの支持を得た事から弁護士業を辞めて、ワインレビューに専念する事になりました。
PPの評価方法
PPはワインの価格やブランドに関係なく、100点満点で評価されます。
すべてのワインが50点の持ち点から始まり、下記の項目に沿って加点方式で最終的な点数が決まります。
- 外観 1~5点
- 香り 1~15点
- 味わい 1~20点
- 将来性 1~10点
そして、最終的な点数に合わせて下記のように分類されます。
100~96点 Extraordinary
95~90点 Extremely good
89~80点 Quite good
79~70点 Above average
69~60点 Average
※59点以下は評価なしとされる
PPが認められる理由
パーカーポイント(PP)が多くの人に認められた事にはいくつかの理由があります。
評価基準が明確
長いコメントだけのレビューだけでなく、統一した基準を設けて採点・評価した事で、分かりやすく明確であると受け入れられました。
公平な評価に努めた
当時、ワイン評論家にはスポンサーがついている事がほとんどでしたが、ワイン・アドヴォケイト誌は一切広告を載せず、独自で公平な評価を貫きました。
パーカー氏の素晴らしいテイスティング能力
特に有名な話として、ボルドーの1982年のヴィンテージの新酒を評価した際のエピソードがあります。ほとんどの評論家が芳しくない評価を下す中、パーカー氏のみが「素晴らしいヴィンテージになる」と評価し、実際にそうなったというのです。
PPが高いけどお手頃価格のワイン
PPは価格に大きな影響を与えると伝えましたが、高得点でも手に取りやすいワインもあります。高評価とされるPP90点以上のものから、1万円を切るものをいくつか取り上げてみました。
シャトー・ラ・ピルエット 2016
アメリカンチェリーや野いちごの香りが漂い、ほとんどサンジュリアン地区産のようなスタイルだ。味わいはミディアムボディーで、しっかりとしたかなり辛口なタンニンを持っているが、ここには杉や森の下生えの植物が混じった黒い果実がたっぷりとあり、飲み終わり感のフィニッシュにはマッシュルームのタッチがある。
年号ワイン.comより一部抜粋
カルム・ド・リューセック 2015
淡~中程度の黄金色で、レモンのタルト菓子、オレンジのマーマレード、保存したアンズの愛らしい香りが感じられる。味わいはミディアムボディーからフルボディーで、豊かな果実味と、柑橘系のジャムと混ざり合った香ばしさと土っぽい層状の味が魅力的で、素晴らしい新鮮さと長さのある飲み終わり感のフィニッシュを迎える。
年号ワイン.comより一部抜粋
シャトー・モンランドリー 2015
グラスの中で開いてくると、徐々に魅力的な花の香り、乾燥したバラの花びらやポプリの香りが現れてくる。味わいはミディアムボディーで繊細なタンニンがあり、口の中ではかなりグリップ感があり、ここでも酸味がうまく判断され、飲み終わり感のフィニッシュでは非常に調和のとれた官能的な味わいになっている。
年号ワイン.comより一部抜粋
PPだけが評価基準ではない
ワインの評価にはパーカーポイント(PP・RP)だけでなく、様々なものがあります。
例えばワイン・アドボケイト誌に並ぶ著名なメディアとしてワインスペクテーター誌というものがあり、その評価はWSと表記されたりもします。他にも多くの賞があるなど、ワインの評価は様々。
また、パーカー氏は樽のきいたワインを好むようで、高いPPの獲得を狙うワイナリーが樽のきいたワインを造っていたという話も。大切なのは評価に振り回される事ではなく、あくまで参考や話のネタとして捉えて、自分で楽しめるかどうかかもしれませんね。
あなたのワインライフが少しでも豊かになれば幸いです。
NAO
CAMOS TOKYOスタッフ。
JSA認定ワインエキスパート / WSET LEVEL3 / チーズプロフェッショナル。