こんにちは。
CAMOSスタッフのNAOです。
第2回 緑のワインはお楽しみ頂けましたか?
まだ読んでいない方は、是非、第1回から読んでみて下さい。
予告通り、今回は”コルク”についてお話ししたいと思います。
ワインの栓
多くのワインがガラス瓶に入っていて、栓がされていますよね。
<栓の種類>
- スクリューキャップ
- コルク
- ガラス
- 王冠
- ハイブリッドコルク
などなどたくさんの種類があります。
どの栓もワインを有害物から守るためにあります。
さらに追加して、使いやすさなどの消費者要因、瓶詰め工程などの生産要因、そしてワインの瓶内熟成にまで影響を与えます。
これらの事を考えて生産者は栓をセレクトします。
その中でも今回はコルク栓に特化してお話ししたいと思います
コルク栓とは
コルク栓は”コルク樫(がし)”という木から造られています。
緑のワインでご紹介したポルトガルは、なんと世界のコルクの約半分を生産しています。
その次がスペインとなり、ポルトガルとスペインで約80%~90%を生産しています。
コルク樫は丈夫で弾力性と断熱性に優れています。
そのためワインの保存の栓としてピッタリです。
またスクリューキャップと違ってサビの心配も無いですよね。
環境問題
コルクは木(コルク樫)を原料にするため、環境問題が心配されます。
ところが、コルク栓は木を「伐採」するのではなく、「樹皮を厚く剥がした」ものを原料に作られます。
そのため、繰り返し同じ木からコルクを造る事が出来るため、エコロジーと言えます。
メリット
コルク栓はワインにどんな良い影響を与えるのでしょうか?
見ていきましょう。
熟成
コルク栓を使う理由、それは”熟成”のためです。
出来立てのワインと、何十年も瓶の中で熟成させたワインでは味わいが違います。
なぜ味わいが違うのでしょうか?
熟成中にワインはどのような変化が起きているのでしょうか?
見ていきましょう。
ワインを熟成させるためには絶対必要なものがあります。
それは”酸素”です。
ワインは酸素に触れると様々な化学変化を起こします。
例えば、赤ワインを飲むと”渋み”を感じるますよね。
この渋みの成分は”タンニン”です。
熟成中にタンニンと酸素が結合します。
するとタンニンは少しづつ削ぎ落とされ、個体(澱)となり瓶の底に沈みます。
これにより最初は渋かったワインも、熟成により渋みが柔らかいワインに変わります。
では、酸素はどこにあるのでしょうか?
1.ヘッドスペース(液面とコルクの間)
液面とコルクとの間の空間を「ヘッドスペース」と呼び、この空間にあるものは酸素になります。
2.コルクから入る酸素
コルクから微量の酸素が入ると言われています。
もし「ワインを熟成させてみたいな」と思ったらスクリューキャップではなくコルク栓のワインを選んで下さい。
※スクリューキャップはほとんど酸素を通しません。
そして、長い時間の熟成を考えているなら、コルク栓が長いワインを選んで下さい。
コルク栓が長い程、酸素の入る量は微量になり、じっくりゆっくりワインは熟成されます。
熟成についてもっと知りたい方は是非、こちらも読んでみて下さい。
https://note.com/muu_de_wine/n/na90f1b39b4d4
デメリット
ワインの栓は全てコルク栓でいいのでは?と思いますよね。
実はコルク栓にもデメリットがあるんです。
ブショネ
新品のワインを抜栓(栓を抜く)して、ワインに鼻を近づけると、ダンボールやカビの香りが…
という経験はありますか?
私はあります。
なんとドンペリ(高級シャンパーニュ)でこの経験があります。
これはどんな高級ワインでも起きてしまう、コルク栓のデメリットなんです。
コルクは天然素材のため、塩素系の洗剤で洗います。
その際に塩素がコルクに残ってしまう事があります。
その塩素が微生物と反応し、カビの原因物質である”トリクロロアニソール”に変化します。
このトリクロロアニソールがワインに不快な香りを与えてしまいます。
この現象を”ブショネ”と呼びます。
またトリクロロアニソールは元々コルク樫に存在している事もあります。
天然素材のコルクでブショネの発生ゼロは難しいのが現状です。
スクリューキャップだと天然素材ではないので、このような問題は起こりません。
コルク栓の種類
ブショネ対策やコスト削減のため、さまざまなコルク栓が開発されています。
いくつかご紹介したいと思います。
天然コルク
高級ワインに多く使用されているのは、やはり天然コルクです。
天然素材なので、ブショネはもちろん品質の安定が難しいです。
価格も高くなりますが、やはり高級感があります。
圧縮コルク
コルク樫を粉砕し、粒状にした物を圧力で押し固めたコルク栓になります。
天然コルク栓を打ち抜いた後の、残りのコルク樫を使う事も出来るので、価格は安くなります。
最近では、”DIAM(ディアム)コルク”という圧縮コルク栓が登場しています。
これは一般の圧縮コルクに対し、コルク樫を粒状にした後、二酸化炭素を使った特殊処理を行う工程が追加であります。
この工程によりトリクロロアニソールも含む150以上の物質を除去する事が出来るため、ブショネのリスクが軽減されます。
合成コルク
プラスチックから造られるコルクです。
1990年代にアメリカなどのニューワールドが使い始めたのがきっかけで、世界中に広まりました。
当初、この合成コルクは多量に酸素が入ってしまうため、長期熟成しない安価なワインに使用されていました。
今は改良され、酸素の入る量も抑えられているのですが、まだ安価なワインに使用されるイメージが強く、高級ワインには使用されない傾向がありますが、安価でブショネの心配が無いというメリットがあります。
まとめ
ちょっとお題がマニアックでしたが、いかがでしたか?
コルクはワインのボトル栓として1番最初に採用されました。
そして今もなお、広く使われています。
コルクにも目を向けてみると、また新たなワインの楽しみ方が生まれるかもしれませんね。